VPI 技術分析: スパッタリング ターゲットにバッキング プレートが必要なのはなぜですか?

VPI の高真空マグネトロン シリーズ スパッタリング コーティング装置を使用するプロセスでは、スパッタリング ターゲットは高品質の薄膜を実現するために不可欠なコンポーネントです。ただし、スパッタリング プロセスの安定性と効率性を確保するには、通常、ターゲットにバッキング プレートを装備する必要があります。では、ターゲットにバッキング プレートが必要なのはなぜでしょうか。バッキング プレートはスパッタリング中にどのような役割を果たすのでしょうか。VPI のエンジニア Li が簡単な技術的説明を行います。

バッキングプレートの主な機能

1. 熱伝達を強化してターゲットの過熱を防ぐ

スパッタリングプロセス中、高エネルギーイオンがターゲット表面に連続的に衝突し、大量の熱が発生します。この熱がすぐに放散されない場合、ターゲットは過熱し、ひび割れや破損につながる可能性があります。バッキングプレートの主な機能の 1 つは、ターゲットとカソード間の熱伝導率を向上させ、熱を素早く逃がしてターゲットの温度安定性を維持することです。

2. ターゲットの安全性を確保して耐用年数を延ばす

バッキングプレートは機械的なサポートを提供します。ターゲットに熱応力による亀裂が生じても、バッキングプレートはターゲットを所定の位置に保持し、スパッタリングプロセスの継続性を確保します。これにより、ターゲットの耐用年数が延びるだけでなく、生産効率も向上します。

バッキングプレート材料の選択

適切なバッキングプレート材料を選択するには、熱伝導率、機械的強度、対象材料との熱膨張係数の一致など、複数の要素を考慮する必要があります。一般的なバッキングプレート材料には次のものがあります。

• 無酸素銅: 優れた熱伝導性があり、何度も再利用でき、ほとんどの金属ターゲットに適しています。

• ステンレス鋼: 高い機械的強度と耐腐食性を備え、強力なサポートを必要とする用途に適しています。

• モリブデン: 高温条件やセラミックとの熱膨張係数が一致しないターゲットに適しています。

• タングステンとグラファイト: あまり一般的には使用されませんが、特定の条件下では実行可能な選択肢です。

ターゲットをバッキングプレートに接着する方法

1. 拡散接合

高温高圧下でターゲットとバッキングプレートをプレスすることで、両材料の原子が相互に拡散し、強力な結合を形成します。この方法は、100%に近い結合面積を実現し、高い熱伝導性と信頼性が求められる用途に適しています。

2. はんだ接合

ターゲットとバッキングプレートを接続するにはんだ（インジウムなど）を使用します。インジウムは熱伝導性と柔軟性に優れているため、ターゲットの熱膨張に対応できます。ただし、インジウムは融点が低い（156.6°C）ため、高温の用途には適していません。

3. エラストマー接着

アルミナやシリコンなどの脆くて融点の高いターゲットに適しています。エラストマーは最大 250°C の動作温度に耐えることができ、超高真空適合性を備えているため、温度に敏感な低密度のターゲットに適しています。

4. その他の接着方法

   • 電子ビーム溶接：真空環境で高エネルギー電子ビームを使用して局所溶接を実現します。

   • プラズマアーク溶接：アークによって発生する高温を利用して材料を溶接します。

   • 摩擦撹拌接合：機械的な摩擦によって熱を発生させ、固体状態で材料を接合します。

スパッタリングターゲットにおけるバッキングプレートの重要な役割

バッキングプレートは、スパッタリングターゲットにおいて重要な役割を果たします。バッキングプレートの材料と適切な接合方法を正しく選択することで、スパッタリングプロセスの安定性と効率性が向上するだけでなく、ターゲットの耐用年数を延ばし、生産コストを削減することもできます。VPI のエンジニアとして、私たちはお客様に最高品質のスパッタリングソリューションを提供することに尽力しています。ターゲットへのバッキングプレートの適用に関してご質問やご要望がございましたら、いつでもお気軽にお問い合わせください。